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にかわ

楽器の接着剤

 使い捨ての品や工場製の安価な物品が普及した今日では洋の東西を問わず、特に日本では、ニカワはあまり知られていません。また、西洋でも、使われることが少なくなった物の一つでしょう。しかし弦楽器に使われるニカワにはたいへん深い歴史と役割があるのです。皆さんの手元にある弦楽器を子供の玩具にしてしまいたくない人は、よく読んでください

 ニカワの成分はゼラチンです。魚や、動物の皮や骨が原材料です。基本的には同じ物ですが、何から取るかによって、性質が少しずつ違い、対象によって使い分けられたりします。イタリアでは金箔を張るための石膏に使うのは兎の皮のニカワです。一般に市販されている石膏にはセメントのように水分を吸って時間が立つと固まるように混ぜ物がされてますが、本来石膏はニカワで固められていてお湯の中に付けておくとまた柔らかくなる物だったのです。家具の修理には、一般的に骨のニカワでしょう。イタリアで弦楽器修理には、ケーキを作るために売られていて、魚から作られるゼラチンが手に入りやすく、精密な仕事に向いているので使っている人も多いです。日本では薬屋さんでゼラチンを買うと言った手もありますが、まだ画材屋で売られている粒又のニカワの方がよかったです。

 使い方は一晩ほど水に漬けた後適度に暖めると、コロイド物質ですので流動性があり、冷えるとゼリー状になり、水分を失うと木の繊維どうしをくっつけるわけです。弦楽器に使う場合には、一般工芸品の場合より薄めにします。特に表板などよく剥がしたりするところは特に薄く付けてないと次に剥がすときに丈夫になりすぎてうまくはがれず楽器にひびが入ったりします。安物の楽器などには、濃いニカワがどっさり付けてありますが、本当はよくないことです。ましてボンドを使うのはもってのほかだということがおわかりでしょう。(ときどきこれでわたしは、大変苦労しています・・)

 ニカワは、付けたり剥がしたりが自由にできる替わりに、現在一般に使われる接着剤よりも接着力は強くなく、しかも湿度や温度の変化に敏感で、古くなると剥がれやすくなります。もし楽器の接着部分が剥がれたりしたときは、古いニカワをお湯に浸けた、少し硬めの筆で除去した後(木がお湯で濡れてふやけすぎないように注意)、新しいニカワをいれて軽くクランプで締め付けます。そして、はみ出したニカワを乾かないうちにさっと筆で取り除いておくのもこつです。乾いても水でぬらすと徐々にふやけゼリーのようになるので取りのぞくことができます。

 基本的にはちっとも難しい作業ではないので、少し練習すれば誰でもできるようになりますが、経験が少ないと思いがけない事故が起こったりするので、大切な楽器は専門家にまかせましょう。